若き写真家の肖像 | ARTAMA(アルタマ)

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第4回 浜中 悠樹



昨年10月、東京写真美術館で開催されていた写真新世紀の公開審査に参加したときに会場で気になる作品があった。写真の会場なのに日本画を見ているような錯覚に陥った。日本画のモチーフによく使われる樹々を撮影し、インクジェット専用の和紙にプリントが施されていた。なるほどと思って納得したような気がした。その作品を制作したのは写真家・浜中悠樹である。作品のタイトルは「樹々万葉」である。

canon_shinseiki.jpgⒸyuki hamanaka

浜中君のことが気になったので、大阪に出張する際にインタビューをお願いした。京都出身ということも有り、穏やかな風貌の中に熱い情熱があるようような感じの好青年である。大阪市内の浜中君行きつけの居酒屋でインタビューさせてもらった。

驚いたことに写真を始めてまだ4年程度だと言うことだ。しかし話を聞いて行くうちに現在の浜中君が写真家となるきっかけがいくつかあった。1978年に京都で生まれた。浜中君が特に影響を受けたのが、小学生時代6年間通ったアトリエの先生であった榊健先生だった。榊先生はケラ美術協会を主宰する1人でもあり、国立国際美術館にも作品が収蔵されている。榊先生は、教科書通りの授業ではなく、子供の五感をフルに活動させ、自由な方法で授業を行っていたという。浜中君もいつしか榊先生に魅かれたという。


アトリエでは、油絵、水彩画、木版画、絵本制作、和凧制作などと多様に習っていたこともあり、小学校卒業と共に卒業してからは、「やりきった」という焦燥感から、絵を描くといったことなど、作品を創作しようと思わなくなっていた。

大学では経営情報学部という、日本でもインターネットが流行ってきたころ、いち早く授業でインターネットを取り入れた大学に入った。卒業後はWEBデザイナーとして印刷会社に就職した。当時の印刷会社はアナログとデジタルの過渡期であり、新たなサービスとしてWEBコンテンツなどを印刷物と共に対応することも多かったからだ。その後、何社かWEBコンテンツの制作会社を渡り歩き現在にいたる。ホームページを作るにはデザインと写真がどうしても不可欠である。ちょっとした写真なんかは浜中君自身が撮影していたようだ。

30歳を迎え、自分の時間を作る余裕が生まれて、あらためて何か自由に創作することをしたいと思うようになった。

写真撮影に関わる機会が多かったことから写真作品を作ってみようと思い立った。
写真を撮るならうまくなりたいという思いから、2009年宝塚にある写真表現大学本科を受講するようになる。月2回の授業で写真の基礎を勉強したという。そのとき制作した作品がミオ写真奨励賞で入選した。翌年には写真表現大学研究ゼミに進んだ。2012年に初個展「植物視点」(Port Gallery T/大阪)を開催した。

syokubutsushiten.jpgⒸyuki hamanaka

写真新世紀で優秀賞を受賞した「樹々万葉」について浜中君がステイトメントを書いている。

ー言葉を発っさず、静かな生活を営む「樹」。人工的な造形や色彩があふれる現在において、樹々が表現する生の姿に、人が関与しない純粋な生命体としての造形美があるのではないかと考えるようになりました。幾何学的な形容の中に見られる「力強さ」「可憐さ」「儚さ」。新生の生吹から枯園へと流れ、廻る命。そんな、静かに千差万別の物語を送る、自分の感じた樹々の命のカタチを和の表現を用いて、写し込みました。ー「写真新世紀リーフレット」より抜粋。

kiginoyorozuha.jpgⒸyuki hamanaka

今後は純粋に自然が好きで、テーマ性にこだわらず制作して行きたいと語っている。まだまだ作品が少ないので、作品数を増やすこと、写真の質を上げていきたいとも語る。まだまだ荒削りな部分はあるとは思うが、今の気持ちを絶やさず活動して行ってほしいと切に名願っている。今後作品を拝見するのが楽しみな写真家の1人である。



【公式ホームページ】
http://d-weaver.net

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浜中悠樹プロフィール

1978年、京都出身
阪南大学経営情報学部経営情報学科卒業
2009年、写真表現大学本科受講
2010年、ミオ写真奨励賞2010入選
2011年、写真表現大学研究ゼミ受講
2012年、個展「植物視点」(Port Gallery T/大阪)開催
2012年、写真新世紀 優秀賞受賞



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>>澄 毅




一花 義広
Ikka Yoshihiro
アートプロデューサー

略歴

1969年 石川県七尾市に生まれる。
関西大学卒業後、天竜市立秋野不矩美術館学芸員、松下電工汐留ミュージアム学芸員を経て、現在出版社リブロアルテ代表取締役。「Tamajin」編集委員。リブロアルテ:http://www.libroarte.jp

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